安らぎの一時

それはある日の昼下がりの出来事だった。

「刹那、寒くないかい?」
「はい、大丈夫です」
制服に身を包んだ雷と刹那は、それぞれのキャンパスに程近い小さな公園のベンチに座っていた。
その膝の上には弁当箱が。

午前の授業が終わるチャイム。
それと同時に雷は気付く。
弁当が無い事に。
刹那と一緒に住むようになってからは、刹那お手製の弁当を食べる事が日課だった。
だが、今日に限ってはゴースト退治が長引いて徹夜となってしまい、アパートに寄る暇も無く登校してしまった。
だから今日は弁当を受け取ることも出来ず、ましてや刹那の顔さえもまだ見ていない。
「仕方ない。今日は購買で我慢するか……」
渋々と席を立とうとした直後にかかってきた刹那からの電話。
内容を聞いてホッと胸を撫で下ろす。
内容は、雷の分の弁当を持って来てるから渡す、というもの。
雷は頬を綻ばせながら待ち合わせの公園へと向かうのだった。

そして今、2人は公園のベンチに並んで座り、弁当を食べていた。
例年なら冬の寒さで凍える所だが、近年の温暖化と太陽の日差しが寒さを和らげ、麗らかな春を思い起こさせる陽気になっていた。
「ごちそうさま」
「いえいえ、お粗末さまでした♪」
隣には笑顔の刹那。差し込むは春のような陽気。そして空腹はたった今、満たされた。
これだけの条件が揃えば結果は自ずと見えてくる。
「あの、雷さん?」
刹那が何かを言っているが、瞼の落ちてきた雷の耳には届いていない。
そして……
刹那の肩にもたれかかるように雷の意識は途切れた。
「もう……仕方ないですね」
笑みを浮かべた刹那は起さぬよう雷の頭を優しく自分の膝の上へ誘う。
それは束の間の至福の時であった。

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 この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、敷武雷が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は敷武雷に、著作権は藤澤なづき候補生に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。

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